地球上で最初の生命は海から生まれたと考えられています。
海から生まれたいきものは、これまでの進化の過程で様々な種類に分かれてきました。
現在の海の中には、原始的ないきものから高等ないきものまで様々なものが存在します。
今回は海のいきもののうち、数億年も前から存在している動物である、無せきつい動物について、主な6グループを紹介します。
海綿動物(かいめんどうぶつ)
海綿動物は5億年以上も前から地球上に存在していると言われている原始的な動物です。
海綿動物を英語で言うと「Sponge(スポンジ)」です。今では合成樹脂のスポンジが多く使われていますが、元々は、海にすむ海綿をスポンジとして使っていました。
世界中のあらゆる海に生息し、淡水に生息する種類もいます。
壺状、円筒状、杯状、樹枝状などいろいろな形ものがあり、くっつく場所によっても形が変わるものもいます。
体の構造は、スカスカであり、複雑な水路のようになっています。
海綿の特徴として、体の中に、組織や器官はありません。そのため、細胞をバラバラにしても、また再集合して、海綿動物として形が作られます。
そのため、どこまでが1個体とカウントするのが難しいいきものです。
刺胞動物(しほうどうぶつ)
刺胞動物は、刺胞という毒を注入する針のある細胞をもった動物です。触手に触れた動物を、刺胞の毒で動けなくして食べるので、刺胞動物は全て肉食性です。
刺胞動物の代表例としては、クラゲやイソギンチャクなどがいます。
クラゲやイソギンチャクのもつ毒には人間に害のあるものも多く、沖縄に生息するハブクラゲやウンバチイソギンチャクなど生命を脅かすものもいるため、むやみに触るのは危険です。
また、生きている時はもちろん死んで陸に打ち上げられているものでも毒針が発射されることがあるので、注意が必要です。
刺胞動物の特徴として、口はありますが、肛門はなく、袋のような体のつくりをしています。そのため、食べたエサは、胃で栄養を吸収し、カス(フン)は口から出します。
環形動物(かんけいどうぶつ)
環形動物は、細長い体の形をしていて、体節といわれる環状の節がいくつも繰り返されている構造をもついきものです。種類によって、数十から数百の体節で体が作られています。
環形動物の代表例としては、釣りのエサとしてよく使われる、ゴカイやイソメ、ユムシなどがあります。陸上ではミミズが環形動物の代表です。
ゴカイやイソメなどの種類は海底の砂泥の中にすんでいます。このいきものたちは、動き回ることで、底質が攪拌されたり、エサとして砂泥の有機物を吸収、分解したりすることで、海底の環境を改善する役割を担っています。
また、ミミズの仲間といわれると気持ち悪いと思う人も多いと思いますが、イバラカンザシといわれるカラフルできれいなダイバーに人気のいきものも環形動物に属しています。
軟体動物(なんたいどうぶつ)
軟体動物は、その名のとおり、軟らかい体をもついきものです。
軟体動物の代表例は、貝やイカ・タコ、ウミウシなどです。
軟体動物は、体が軟らかい代わりに、体を守る硬い貝殻をもっています。貝殻は、アサリのように二枚貝もあれば、サザエのように巻貝もあります。
イカやタコは進化の過程で素早く動くことで、敵から身を守る戦略をとったために、貝殻が不要となり、貝殻をもたない体に進化したと考えられています。
ちなみに、イカの体の中にある薄い透明な板のようなもの(軟甲)は貝殻のなごりと言われています。
節足動物(せっそくどうぶつ)
節足動物は、特にたくさんの種類が含まれるグループです。 節足動物は、基本的に頭、胸、腹の3つの部位で構成され、多くの節に分かれていて、基本的には節に1対の足があります。
節足動物の代表例は、なんといってもエビやカニです。
節足動物のうち、エビやカニは甲殻類といって、硬い殻(外骨格)で覆うことによって身を守っています。
この硬い殻は、身を守ることや体内の水分を逃がさないことには有効ですが、大きくならないため、成長するには脱皮が必要となります。
ちなみに、陸上では昆虫も節足動物の一部に含まれます。地球上で確認されている動物の約7割を昆虫が占めると言われています。
棘皮動物(きょくひどうぶつ)
棘皮動物という文字から連想されるように、ウニが含まれます。
また、ヒトデやナマコなども棘皮動物に含まれます。棘もなく、ウニと見た目も大きく異なりますが、遺伝的に近いことがわかっています。
棘皮動物の特徴は、体の中心から5つの方向に放射状に伸びるつくりになっています。 ヒトデの足は基本的に5本なのでイメージしやすいかもしれません。ナマコやウニも体のよく見るとそのような作りになっています。
また、皮ふの下には、たくさんの石灰質の骨(小骨板)が存在し、そのために体全体が硬くなっています。
私たち人間などのせきつい動物は、無せきつい動物から進化することで誕生したと考えられています。この棘皮動物は、DNAによる研究から無せきつい動物の中でもかなりせきつい動物に近い存在ということがわかっています。
つまり、イカやタコ、エビやカニよりもウニやヒトデの方が私たちの体のつくりと近いということになります。あまりイメージできませんが。
以上、今回は海のいきものうち無せきつい動物の6つのグループを紹介しました。 海には様々な種類のいきものがいますので、海に遊びに行く際には、いろいろないきものを観察してみてくだい。
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