スーパーにて、肉か魚どっちがいい?という2択はよくある会話の一つかと思います。
ただ、その種類をよく考えてみると、部位の違いはあれ、肉は、牛か豚か鶏ぐらいですが、魚はマグロ、カツオ、サケ、サンマ、タイ、カレイ…と比べ物にならないほど種類があります。
さらにイカ、タコや貝、海藻なども合わせた魚介類ではかなりの種類となります。
日本で売られている魚介類の種類は、約500種類とも言われています。
そのため、いろいろな魚介類の特徴を知っていないと、どの種類を買えば良いか迷ってしまうと思います。
また、このほとんどが自然界で生まれ育ったものを漁業によって捕られ、売られています。
魚介類は、(養殖魚を除き)野菜や果物、家畜のように人の手によって育てられたものではないため、捕れた時期、場所、大きさなどによって、味や栄養価などがバラバラです。
そのため、おいしい魚介類を見分けることはさらに難しいと思います。
一方、食材のおいしい時期を表す言葉に「旬」があります。
魚介類の旬を知った上で魚介類を選ぶことで、よりおいしい食材に出会うことができます。
今回は、そもそも魚介類の旬とは何かについて簡単に解説し、魚介類のおいしい時期を知るきっかけとなってもらえたらと思います。
魚介類の旬とは
魚介類の旬は、その種類によって全く異なります。
冬は脂の乗りが良くなっておいしいという話を聞いたことがあるかもしれませんが、全ての魚介類に当てはまるわけではありません。
では、魚介類の旬とはいつのことを指すのか、ということですが、実は魚介類の旬には大きく2つの意味があります。
1つは、たくさん捕れる時期で市場にたくさん出回る時期です。
そして、もう1つは産卵前の脂が乗っている時期です。
それでは、これらについて少し詳しく解説します。
たくさん捕れる時期
1つは、魚介類がたくさん捕れる時期を旬と呼びます。
この旬の場合は、時期的に味が良いかどうかということはあまり関係ありません。(おいしくないということではありません)
例えば、主に日本海側で多く捕れる「ズワイガニ」ですが、ズワイガニの旬といえば冬ということを知っている人は多いかもしれません。
これは、ズワイガニの身が冬に特別おいしくなるからというわけではありません。
ではなぜ、冬になるとカニ、カニと宣伝され、売り出されるのか。それは、ズワイガニを捕っていい時期が11~3月(日本海側)と決まっているからです。
このような漁業の管理はズワイガニに限った話ではなく、多くの種類の魚介類に対して、資源を管理しながら漁業を行うため、法律などで捕っていい時期を決めています。
また、漁業の管理によるものだけでなく、回遊の過程で、沿岸近くに群れが集まりたくさん捕れる時期ということもあります。
いずれにしても、市場にたくさん出回ることが旬とされる場合があります。
産卵前の脂が乗っている時期
もう一つは、魚介類の産卵前の脂が乗っている時期のことを旬といいます。
こちらの旬の方が一般的な旬のイメージかと思います。
魚介類は、一年中産卵するわけではなく、種類ごとに産卵する時期が決まっています。
産卵にはたくさんのエネルギーが必要となることから、産卵前は栄養豊富で脂の乗りも良くおいしい状態となります。
例えば、寒ブリで有名なブリの旬も冬になります。
寒ブリは脂がたくさん乗っていて大変おいしい魚です。
寒ブリとは、産卵のため栄養や脂をたっぷり貯めこんだブリが冬に北から南下してくる途中で捕られたものいいます。
産卵の時期は、同じ種類の魚でも場所によって少しずつ異なるため、地域によって旬も少しずつ異なる場合があります。
このように、魚介類の旬には2つの意味があります。
近年では冷凍技術の発達により、旬の時期のものを冷凍し、一年中おいしい状態の魚介類が食べられるようになっています。
また、養殖業も盛んであることから同様にいつでも同じ種類の魚介類がスーパーに並んでいることも多くなってきました。
一方で、旬の時期の魚介類を買って食べることは、おいしさだけでなく、それぞれの地域で捕れる魚介類の生態や特徴を知ることに加え、その地域の食文化や季節を感じるためにとても良いことだと思います。
これほど新鮮で多種多様な魚介類が手に入る国はあまりないと思います。
いつでも売っている冷凍魚や養殖魚もいいですが、様々な魚介類の旬を知り、その時期にしか手に入らない魚介類を購入して食べることで、調理の幅も広がり、鮮魚売り場に行くことが楽しみになると思います。
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